徴兵制を産んだフランス革命 国民国家の誕生 1789年の「フランス革命」は、絶対王制を倒し、王侯貴族が不合理に独占していた富と権利をブルジョアと呼ばれる都市の商工業者たち、いわゆる市民に移そうという革命でした。 とはいえ、1791年に成立した共和制政府は1799年、ナポレオンのクーデターによって統領政府となり、1804年、ナポレオンはナポレオン1世として皇帝に即位しフランス第一帝政が成立します。 このフランス革命は「徴兵制」を生んだ革命としても知られています。 1793年、共和制政府が国民総徴兵法を布告し、フランスは百万人規模の国民皆兵の態勢に入りました。1796年にヨーロッパ制覇を目指して開始されたナポレオン戦争は、徴兵制をさらに拡充させました。 1812年のモスクワ遠征失敗を機に、戦争はフランス帝国防衛戦争へと変遷します。 徴兵制は画期的な制度でした。フランス革命以前、ヨーロッパ諸国の軍隊は「騎士団」と呼ばれる、カネで雇われて戦う傭兵たちで構成されていたのです。 自分の国は自分で守るという意識はナポレオン戦争を通じて高まり、ここにヨーロッパに初めて「国民国家」というものが登場したのです。 『かけがえのない国――誇り高き日本文明』 武田邦彦 ((株)MND令和5年発行)より R060126 111 R061029