◎中国に勝たなければ日本は二流国になる 武田: しかし、日本のマスコミというのは、どうして、そういうことを書かないのでしょうね。中国だって、日本の経済力や応援がなかったらダメなわけですよね。 日下: そうです。全然ダメです。 武田: 私はトヨタ自動車の人に、「中国なんかに工場をつくらないでくださいよ」と言ったことがある。 トヨタ自動車が中国に工場をつくると、新日鐵からプラスチック工場からみんな中国に行ってしまう。日本の技術がどんどん中国に出てしまう。彼らは自分たちでつくろうとしないで全部盗んでやる。 だから、「中国でつくるのをやめて、日本でつくった自動車を高く買って貰ったらどうか」と。そうすれば、中国に対して対等でいける。 私は環境関係で言えばこう言っています。 「日本が石袖を節約しても、その分だけ中国が使ってしまうだけである。だから、日本のお爺さんは中国の孫の方がかわいいのかと聞いているのです。私は日本の孫がかわいいから、どんどん石袖を買って使う」 なぜ、そういうことを言わないんですかね。そこに疑問があるんですよ。 日下: やっぱり子どものときから、日中友好親善なんて言われているからでしょう。私はこのごろ外務省の人や政治家に言っているのは、「国際社会の一員として」という言葉は死語にしろと。あれで頭が縛られちゃうんですね。 武田: 「国際社会の一員として」というのは、自分の権益を守って対等に交渉するということが国際社会の一員であって、へりくだったり金を配ったりすることが国際社会の一員ではないと思うのですが? 日下: そうなんです。「国際社会の一員として」と言っても、そのあといまのように続 けてくれればいいんだけど、「協力して援助しなければ」などと、金を出すことになる。おかしいんですよ。結局、国民からカネをとって、自分が配るのが一番楽しい仕事らしい。 武田: 中国に勝っていかなければ、日本は二流国になってしまう。私は、そんな中国に負けて二流国になった国土を孫に残したくない。それなのに、日本の指導者はどうして日本をダメにするように持っていくのかと憤りを感じるんです。 経団連は、中国に工場を造ることを自制する申し合わせくらいはして欲しい。それでこそ、日本人だと思うのですが。ともかく、中国は当面のもっとも手強い競争相手なんですから。そこで工場を造れば、どんどん技術が流出してしまいます。これは私の領域ではないですが、日本はインドなどと結んで、中国を囲む経済圏をつくつてくれると良いのです。 日下: 対中国包囲経済圏ね。 武田: 私は、学生にはいつも、「中国には十五億人もいるから、中国に勝つのは大変だぞ」 と言っています。「だから日本が技術で一億人で勝つには、一対十五だから十五倍努力しろ」 と言っています。すると、学生は頑張るんです。 日下: そう言えばね。 『作られた環境問題』NHKの環境報道に騙されるな! 武田邦彦・日下公人 (WAC 文庫 平成21年発行)より R061222 P104